中国の「長城」報道に対する専門家討論会を開催
- 中国の歴代「長城」の総延長の意味は? -
財団は、6月12日(火)10:00〜12:00、財団大会議室で、中国の「長城」発表に対する専門家討論会を開催した。
6月5日(火)に中国国家文物局が歴代「長城」の総延長を公表したことを受け、韓国内のメディアは、歴代「長城」の総延長を「万里の長城」の延長として理解し、高句麗・渤海史との関連性について報道した。
財団は、今回中国側が発表した歴代の「長城」は、一般的に知られている従来の「万里の長城」だけでなく、中国各地に残っている大小様々なすべての長城を含むものであり、全長もこれらの複数の長城の長さを合わせたものであると認識した。
これに財団は、韓国内の「長城」専門家の李鍾洙教授(檀国大)、洪承賢博士(淑明女子大)、南義鉉教授(江原大)らを迎え、中国による今回の発表の思惑と学術的意味について議論した。
当財団の李成制研究委員の司会で行われた討論会で、李教授は、「中国東北地域における長城遺跡調査の現状-遼東地域を中心に」という論文を発表し、中国東北地域の長城に関する研究結果と調査の概況をまとめ、解決策を示した。
南教授は、「万里の長城の東端は山海関であるか、鴨緑江であるか」という報告で、明の遼東辺牆(遼東地域の防衛壁)を修築する過程で築城された虎山山城は、万里の長城の東端になることはあり得ないとし、黒龍江・牡丹江周辺の城郭は長城ではなく、むしろ金が都市防衛用に築城したものであると主張した。
最後に、「中国学界の長城に関する研究動向の変化」について発表した洪教授(淑明女子大)は、中国が持っている長城に対する概念・認識の変化に注目し、これらの変化は長城の概念が線から点に変わり始めて現れていると主張した。また、長城を国境線として捕える認識が強化され、現在の国境線と歴史の中の中国を同一視しようとする思惑も、長城に対する認識を変化させた原因であると説明した。